ポリエチレンフォーム
ニューライト
1.ニューライトについて
ニューライトとは、作新工業株式会社が開発・製造・販売する、超高分子量ポリエチレン製品の商標です。ニューライトは、その巨大な分子量による優れた物性により、今や食品、搬送業界の摺動部材として、また、粉粒体を取り扱う箇所の壁面材料として、必要不可欠な材料となっております。
また、作新工業株式会社は、超高分子量ポリエチレン専業メーカーとしての地位も確立しており、樹脂シート・プレートはもとより、丸棒・パイプ、切削加工品、複合シート、フィルム、射出成型品などの加工品も取り扱いがございます。
弊社はこのような材料を調達し、さらに付加価値を付けるべく、加工方法や材料の積層などの点でご提案させていただくことができます。
そのうえで弊社にて、どのような加工が可能かを説明いたします。
1)超高分子量ポリエチレンとは
超高分子量ポリエチレンとは、通常数十万程度の分子量を持つポリエチレンを100万以上まで分子量を高めたポリエチレンのことをこのように呼称します。ポリエチレンのため熱可塑性樹脂に分類され、合成樹脂でもあることからスーパーエンジニアリングプラスチックのひとつとみなされます。
特性としては下記のようなものがございます。
- 耐摩耗性: 摩擦に強く、非常に耐久性があります。
- 軽量: 軽くて扱いやすいです。
- 化学的安定性: 多くの化学物質に対して耐性があります。
- 衝撃吸収性: 高いエネルギー吸収能力を持ちます。
- 低摩擦: 滑りやすく、摩擦係数が低いため、動作がスムーズです。
2.ニューライトの活用事例
下記では、ニューライトの特徴と、その特徴がどのように活用されているか、具体的な採用例をふまえながらご紹介いたします。1)ニューライトの特徴について
超高分子量ポリエチレンのニューライトは、下記に示すような特徴を持っています。①耐衝撃性
アイゾット衝撃強度(ノッチ付き)試験でも破壊されません。(材料自体に柔軟性があるため、破壊されることはございません。)
※アイゾット衝撃強度試験とは
任意の試験片に対して高速で衝撃を与えることにより、耐衝撃性や靭性(粘り強さ)を評価するための試験です。
試験には振り子運動と同じ原理を使用します。
切込み(Vノッチ)を入れた試験片を固定して、ハンマーを一定の高さから振り下ろしたあと、試験片を打撃した際の衝撃エネルギーを測定し、衝撃強さを求めます。
衝撃強さが大きいほど打撃時のエネルギーを吸収できるため、衝撃に対して強い材料ということになります。
自動車ナンバーやスマホケースなど、私たちの生活には衝撃に対する耐久性を必要とする樹脂製品が数多く存在します。
アイゾット衝撃試験は、そういった樹脂材料の耐衝撃性や靭性の評価方法の中で、比較的簡易的に材料強度の評価ができる試験だと言われています。
②耐摩耗性
銅・鉋金・鋼・ステンレス上での摩耗率が極めて低く、他のエンジニアプラスチックと比較しても著しく優れており、加えて相手材保護性を有しています。目安として、一般的に耐摩耗性に優れると言われるフッ素樹脂やナイロン樹脂と比較し、それぞれ前者に対しては6倍、後者に対しては4倍程度、ニューライトに優位性がございます。
耐摩耗性の中でも特に粉粒体(砂・砂利・土など)の摩耗に強いです。
③自己潤滑性
摩擦係数は0.07~0.22(乾式)で、銅や真鍮に潤滑油を使用した場合より、良く滑ります。また、無潤滑・油潤滑のいずれにおいても優れ、フッ素樹脂とほぼ同等の動摩擦係数を示します。
④耐薬品性
高温下で若干の強酸に僅かながら侵されるほか、ほとんどの酸・アルカリ、溶剤に対して物性上の劣化は認められません。⑤低温特性
-269℃(ヘリウム液化温度)の極低温時でも高い衝撃強度や、耐摩耗性を持続します。⑤無毒性
プラスチックには数少ない、生理的に無害な素材で、食品・医療の分野での利用が可能です。(昭和57年厚生労働省告示20号に適合)※一部食品・医療分野に適合しないグレードがございます。
⑥その他
非粘着性・エネルギー吸収性・耐ストレスクラック性・非吸湿性・耐候性・電気特性など、多くの優れた特性を持っています。※耐ストレスクラック性
日本語では環境応力破壊あるいは環境応力亀裂といい、フィルムを含めた成型品の応力がかかるところに洗剤や溶剤が接触し、成形品の内部まで浸透することで、応力との相互作用でその部分に亀裂(クラック)が生まれ、割れてしまうという現象です。
・テフロン(フッ素樹脂)との使い分け
ニューライトとテフロン(フッ素樹脂)とは、よく比較されるテーブルに上がることが多いです。ここではニューライトとテフロンとの使い分けについて簡単に説明しようと思います。
・耐熱温度
ニューライトは耐熱温度80℃ですが、テフロンは200℃以上高温がかかる場合はテフロンを使用するのが良いでしょう。
・コスト、取り回し等
材料ベース考える場合、ニューライトはテフロンの半分程度削れに強く耐久性に優れているという点から、ランニングコストにも優れていると言えるでしょう。
また、ニューライトの比重に注目すると、0.97と1以下のため、他の樹脂と比較しても非常に軽量と言えます。
以上のようにニューライトには多様な特性がございます。
つまりは「つるつる滑って削れない製品」がニューライトだと言えそうです。
2)ニューライトの活用事例
ニューライトは以上のような特徴から、様々な業界で採用されてきました。 以下には実際にニューライトが使用されている業界を、具体的な採用事例と共に紹介いたします。①食品・包装
ニューライトは、食品工業では重要は無毒材料として、食品に直接触れる部分にも安心して使用できるほか、優れた滑り特性・耐摩耗性等を持ち、相手材を保護する特性は、食品の充填ライン等、装置の耐久性年数の大幅アップに寄与しています。採用例:攪拌用羽・スクレーパー、瓶受けホーク及びパット、作業台・まな板、充填ライン用メタル・ギア、打栓機レバー、スプロケットホイール、冷凍庫内張り、充填機用ノズル
②搬送・摺動
ニューライトの優れた低摩擦性・事故潤滑性等の物性は、摺動抵抗を少なくし、スムーズな搬送を保証します。また、適度な弾性は、相手材の保護や吸音効果が大きく、製品を多様なキズから守り、工場の騒音を低減します。
したがってライントラブルを防ぎ、消費電力の軽減・省力化等、無理や無駄のない経済的な搬送システムを実現します。
採用例:コンベアーレール、ガイドレール、スパイラルコンベアーシステムパーツ、ピンガイド、各種チェーン・レール、タイミングスクリュー、各種メタル・ローラー・ギア、各種スライディングシュー
③製紙
ニューライトの耐摩耗性・滑り特性・耐薬品性を活かし、抄紙機のウェット・パート等に単独およびセラミックやゴムとの複合体として利用され、従来の木やプラスチックに比べて数倍の耐久性に加え、ワイヤー寿命の大幅な延命や、電力の節減に役立っています。採用例:サクションボックスカバープレート、ハイドロフォイル、デフレクタープレート、フォーミングボード、軸受け・ギア、各種シール
④建築・土木
ニューライトは、耐摩耗性・非粘着性・自己潤滑性・耐衝撃性等に優れ、特に滑り特性においては、土木・建設機械のプラウ表面材として、作業能率の向上、機械・装備の保護、燃費節減を可能にします。また、粉粒体の貯槽関連設備においては、摩耗、閉塞減少を防止する壁面ライニング材として必要不可欠な存在となっています。
採用例:ブルドーザー排土板ライニング、ダンプカー荷台ライニング、クレーンバケットライニング、ベルトコンベアーローラー、各種粉粒体のバンカー・ホッパー・シュートのライニング、農耕用プラウのライニング、各種トラフのライニング、コンベアーバケットのライニング
⑤化学・医療
ニューライトは化学的に安定した特性を持っており、金属の腐食する部分にステンレススチールに代わって利用されています。また、耐薬品性・耐摩耗性・無毒性を活かして、コルセットなどの保護具の他、人体内部の外科用材料として人工関節等に活用された実績もございます。
採用例:ケミカルポンプ、パッキン・シーリング、バルブ・コック、フィルタープレスプレート、スライドベアリング、義肢・義足・コルセット
⑥スポーツ・レジャー
ニューライトの滑り特性・耐摩耗性・耐衝撃性・低温特性を利用して、スキーやスケートリンク等のスポーツにも用途は拡大しており、また、滑りに優れているだけでなく、部品としての耐久性も高く、高価な維持費節減にも大きな効果を発揮しています。採用例:スキーソール、スリックカーのフロア・タイヤカバー
スケートリンクのフロア、遊園地のスライダー装置、グライダー接地板、各種プロテクター、スノーモービル部品、滑り台、遊戯機器の摺動部
⑦一般機器
ニューライトは、数多くあるエンジニアリングプラスチックの中でも、特に耐衝撃性、耐摩耗性、自己潤滑性の3大物性についてはトップの座にあり、そのため従来の金属その他の材質に代わって、多くの機械部品に利用され、機械・装置の性能アップ、耐久性向上、騒音軽減等に活躍しています。採用例:各種ギア、ベアリング、摺動板、ワッシャー・パッキン、各種ガイド類
低層階用エレベーターガイドシュー
(高層階用では採用実績ございません、作動時の摩擦熱に耐えられないためです)
3)ニューライトの加工について
弊社では各種ニューライトの加工を実施しております。ご対応可能な加工について、下記に列挙させていただきます。
※なお材料の厚みや材質によっては加工方法についてご相談させていただく場合がございます。
・裁断加工
材料を二次元形状に加工することができます。正方形や長方形などの直線的な形状に裁断することが可能です。・プレス加工
クッキーを型で抜くように、打ち抜き型を用い、任意の形に加工することが可能です。裁断加工ではできない複雑な形状の場合、このプレス加工により材料を加工いたします。
・粘着加工
材料に粘着を施す加工です。粘着加工をすることで、材料を何かに貼りつけることができるようになります。
また、異素材同士を貼り合わせることもできます。
・貼り合せ加工
接着剤を用いて材料同士を接着することができます。同じ材料や違う材料同士の接着も対応しております。異素材を積層することで、一定の機能性を付与することができます。
また、両面テープの品揃えもございますので、材料の片側ないし両側に両面テープを貼り付ける加工も可能です。
・切削加工
NCマシニング加工、フライス加工により中ぐり、フライス削り、穴あけ、ねじ立て、リーマ仕上げなど多種類の加工ができます。CADデータをいただくことで上記加工が実施できます。
トムソン型やプロッターでの対応が難しい複雑な形状をご希望の場合、こちらの加工方法にて作製いたします。
※材質によっては、加工のご対応が難しい場合がございます。
加工の可否につきましては、つど営業担当者にご相談ください。
お客様のご希望・用途に沿った形状・材質のご提案をさせていただいておりますので、お困りごと等ございましたら弊社までお問い合わせください。