素材知識
ゴムスポンジとは
1.ゴムスポンジとは
ゴムスポンジとは、原料のゴムと架橋剤・有機発泡剤・軟化剤・補強剤などの材料を混ぜて、膨らませたもののことを指します。ほとんどのゴムスポンジは独立気泡構造で、硬さはC硬度計などを用いて硬度で表し、主原料となるゴムの種類によってゴムスポンジの持つ特徴が異なります。
軽量で強靱な材質の特長を活かし、車両・OA・土木建築・包装・スポーツなど、幅広い産業分野で用いられています。
最近はとくに、先端技術に対する応用がクローズアップされ、用途が拡大しています。NR、CR、EPDM、NBR、シリコンゴムなど様々な種類があり、材質により耐油性、対候性、耐熱性などの性能が異なります。
1)ゴムスポンジの種類
ゴムスポンジは原料のゴムと架橋剤、有機発泡剤、軟化剤、補強材などの材料を混ぜて膨らませたものを指します。原料のゴムの種類によって特徴が異なります。NRゴム(天然ゴム)、CR系ゴム(クロロプレン系ゴム/ネオプレン®neoprene)、EPDMゴム(エチレンプロピレン系ゴム)、NBR系ゴム(ニトリル系ゴム)SI(シリコーン系ゴム)の上記5種類が一般的に工業用途で使用されるゴムスポンジとなります。
2)各ゴムスポンジの特徴
①NRゴム(天然ゴム)
天然ゴムやスチレンブタジエンゴムが主成分で他のゴムスポンジより比較的安価な材料です。
機械的強度や反発弾性、耐摩耗性に優れますが、耐熱性、耐オゾン性、耐候性、耐油性には劣ります。
天然ゴムの用途としては、トラックやバスなど大型車両のタイヤや輪ゴム、手袋、風船などにも使用されています。
ゴムスポンジとしては耐候性や耐油性、耐熱性に劣るため工業用途で使用されることは少ない材料となります。
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②CR系ゴム(クロロプレン系ゴム/ネオプレン®Neoprene)
CR系ゴム(クロロプレンゴム)は、1930年代にデュポン(DuPont)社の科学者ウォレス・カロザースによって開発された合成ゴムです。当時世界初の合成ゴム、ネオプレン®(Neoprene)は耐候性、耐薬品性に優れ、特に耐熱性に優れた素材として注目されました。ゴムスポンジは一般的に耐油性に劣りますが、CR系ゴム(クロロプレンゴム)は比較的耐油性に優れるため潤滑油や燃料などと接触するような部品でも使用が可能です。この特長から自動車部品や機械部品でも広く使用されています。
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③EPDMゴム(エチレンプロピレン系ゴム)
EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)ゴムスポンジは、エチレン、プロピレン、ジエンモノマーなどから合成されるゴムであり、発泡させてスポンジ状にしたものです。EPDM(エチレンプロピレン系ゴム)は耐候性、耐熱性、絶縁性、防水性などの特性を持つ合成ゴムであり、これらの特性はEPDMゴムスポンジにも適用されます。
EPM(エチレンプロピレンゴム)に対して硫黄加硫を行なうために、ジエンを共重合させたものがEPDMゴムスポンジになります。
→EPDMゴム(エチレンプロピレン系ゴム)の詳細はこちら
④NBR系ゴム(ニトリル系ゴム)
NBR系ゴム(ニトリル系ゴム)はアクリトニトリルとブタジエンの共重合物で、耐油性を特長とするゴムです。
アクリルニトルとブタジエンの比率を変化させることで物性を変化させることが可能です。
アクリルニトルの含有量が増えると耐油性や耐熱性、引張強さ、耐摩耗性に優れますが、少なくなると劣ります。一方でアクリルニトルの含有量が少ないと耐寒性や反発弾性に優れるという特徴を持っています。
これらの特長を活かし自動車部品や工業用パッキンなどのオイル回りの製品に多く用いられています。しかし、紫外線に弱いため使用環境を考慮したうえでの材料選定が重要となります。
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⑤SI(シリコーンゴム)
シリコーンゴムは他の材料と比較して耐寒性や耐熱性、耐候性に優れる材料です。200℃以上の環境下でも特性に変化がなく使用することができるため他のゴム材料では耐えられない高温環境下で使用する製品に適しています。一方で機械的強度や耐摩耗性に劣ります。また、シリコーンゴムにはシロキサンという物質が含まれています。シロキサンの沸点は高いのですが、沸点以下でもガス化しやすい特徴を持っているため発生したガスによってフォギングが発生する原因となります。さらにガス化したシロキサンは絶縁性を持っているため電子部品で使用すると絶縁不良の発生原因となるため、材料選定時に考慮する必要があります。
3)ゴムスポンジの用途
緩衝材 | ゴムスポンジは、クッション性があり、衝撃を吸収する能力があるため、クッション材として使用されます。例えば、椅子やソファのクッション、マットレスの補強材などに使われます。 |
断熱材 | ゴムスポンジは基本的には独立気泡であるため熱を良く保持し、断熱材として使用されることがあります。建築や工業分野で、断熱材として壁や屋根の裏側に取り付けられることがあります。 |
防振材 | ゴムスポンジは振動を吸収しやすい特性があり、防振材として機械や機器の振動を軽減するのに使用されます。例えば、エンジンや機械のベース、振動する機器の下に敷くなどの用途があります。 |
絶縁材 | ゴムスポンジは絶縁性が高く、電気や熱を遮断することができます。電気機器や配線の絶縁材として使用されることがあります。 |
パッキン材 | ゴムスポンジは柔軟性があり、密封やパッキングに適しています。ドアや窓の隙間を埋めるためのパッキング材として使用されることがあります。 |
4)ゴムスポンジの加工
裁断 ゴムスポンジは一般的にシート状(1000x1000~2000)で供給されますが、必要な形状やサイズにカットすることができます。裁断はバーチカルカッターやスーパーカッターなどを用いてご希望の寸法に加工します。成形 ゴムスポンジは成形されて特定の形状に成型することができます。成形は加熱と圧縮を使用して行われ、特定の形状や寸法に合わせて製品を作成します。成型形状によっては金型が必要になります。
押出成形 ゴムスポンジは押出成形によって、特定のプロファイルや形状に加工することができます。ゴム材料が加熱され、押し出し口から押し出され、押出金型の形状で冷却され形状を保ちます。
接着 ゴムスポンジは他の素材や表面に接着することができます。接着剤や接着テープなどが使用され、必要な箇所にゴムスポンジが取り付けられますが一般的にゴムスポンジは両面テープがつきにくい材料になります。
ゴムスポンジに含まれる可塑剤が溶け出し粘着を劣化させるため、耐可塑剤入りの両面テープもご用意しております。
プレス加工 ゴムスポンジはプレス機によるプレス加工が可能です。トムソン型やピナクル型を用いて必要な形状にプレス加工ができます。
表面処理 ゴムスポンジの表面に、塗装、コーティング、切削、エンボス加工などの処理を施すことができます。これにより、特定の外観や機能性を与えることができます。
2.ゴムスポンジのまとめ
ゴムスポンジは原料のゴムと架橋剤・有機発泡剤・軟化剤・補強材などの材料を混ぜて膨らませたものを指します。ゴムスポンジに黒色が多いのは補強材としてカーボンブラックというものを使用しているためです。
カーボンブラック(補強材)を添加しないと引張強度や強度が弱いためすぐにちぎれてしまいます。黒い粒子がゴムとゴムの間に入り込むことによってゴム同士を強力に結びつける働きをしています。
ゴムスポンジは工業用途では幅広い分野で使用されており、弊社にも数百種類の在庫があります。
また、加工方法も様々なためお困りごとがありましたらお問い合わせフォームよりご連絡ください。