ゴムスポンジ
CR系ゴムスポンジ
ゴムスポンジとは
ゴムスポンジとは、原料のゴムと架橋剤・有機発泡剤・軟化剤・補強剤などの材料を混ぜて、膨らませたもののことを指します。ほとんどのゴムスポンジは独立気泡構造で、硬さはC硬度計などを用いて硬度で表します。
主原料となるゴムの種類によってゴムスポンジの持つ特徴が異なります。
いくつかあるゴムスポンジのうちCR系ゴムスポンジ(クロロプレンゴム/ネオプレン®(Neoprene)ゴム)についてご説明します。
1)CR系ゴムスポンジ(クロロプレンゴムスポンジ/ネオプレン®(Neoprene)ゴムスポンジ)とは
CR系ゴムスポンジは、クロロプレンゴム(Chloroprene Rubber)を主原料としたゴムの発泡体材料です。クロロプレンゴムは一般的にCRと略され、合成ゴムの一種であり、耐候性や耐油性に他のゴムスポンジよりも比較的優れ、耐摩耗性や耐熱性に対しても高い特性を持っています。
①CR系ゴムスポンジ(クロロプレンゴム)の特徴
耐候性 | クロロプレンゴムは耐候性に優れており、外部環境の影響に対して安定性を保ちます。これにより、屋外や車両のエンジンルームなどの厳しい環境下でも優れた性能を発揮します。 |
耐油性 | CR系(クロロプレン)ゴムスポンジは一般的に耐油性が高いため、潤滑油や燃料との接触が多い環境で使用できます。この特性から自動車部品や機械部品でも使用されます。 |
耐熱性 | CR系(クロロプレン)ゴムスポンジは一般に耐熱性が高く、比較的高温下でも安定した性能を維持します。これにより、エンジンルームや機械部品などの高温環境での使用に適しています。 |
機械的強度 | CR系(クロロプレン)ゴムスポンジは他のゴムスポンジと比較して高い機械強度を示します。 |
衝撃吸収性 | ゴムスポンジの柔軟性を持っているため衝撃吸収性に優れています。これは、パッキン材、クッション材などの用途に適しています。 |
加工性 | クロロプレンゴムは加工しやすく、成形や切削、接着などの加工工程での取り扱いが比較的容易です。これにより、様々な形状やサイズの製品を製造することが可能です。 |
②CR系ゴムスポンジ(クロロプレンゴム)のデメリット
耐水性 | 他のゴムスポンジと比較して耐水性に劣ります。 |
電気絶縁性 | 他のゴムスポンジと比較して電気絶縁性に劣ります。 |
耐寒性 | 低温環境下では、結晶化しやすく伸びや男性が低下して硬化することから破裂や亀裂を引き起こすことがあります。 |
環境影響 | CR系(クロロプレン)ゴムスポンジは燃焼時に有害な化学物質を排出するため廃棄処理の際には留意することが必要です。 |
③CR系(クロロプレン)ゴムスポンジの用途
自動車部品のシール | エンジンルームや車体内部でのシール、ドアシール、ウィンドウシール、トランクシールなどに利用されます。耐候性や耐油性が求められるこのような環境において、CR系ゴムスポンジは優れた性能を発揮します。 |
建築用途のシーリング材 | 建物の窓やドア、壁や屋根のジョイント、外装材などのシーリングに利用されます。耐候性に優れ、高い密封性を提供するため、耐久性が求められる建築用途に適しています。 |
防振パッド | 機械部品や産業機械の下に敷かれる防振パッドとして利用されます。振動や衝撃を吸収し、周囲への振動の伝達を抑制するため、機器の安定性や保護性を向上させます。 |
医療機器のパッド | 医療用のクッションパッドや応急処置用のパッドとして使用されることがあります。 |
スポーツ用品 | スポーツ用品には、クッション性や耐久性が求められるため、CR系ゴムスポンジが使用されることがあります。 |
その他の産業用途 | CR系(クロロプレン)ゴムスポンジは汎用性の高い材料になるため、航空宇宙産業、食品産業、農業など様々な産業でCR系(クロロプレン)ゴムスポンジが使用されています。特性に応じて、さまざまな目的に適した素材として利用されています。 |
④CR系(クロロプレン)ゴムスポンジの加工
裁断 | CR系(クロロプレン)ゴムスポンジは一般的にシート状(1000x1000~2000)で供給されますが、必要な形状やサイズにカットすることができます。裁断はバーチカルカッターやスーパーカッターなどを用いてご希望の寸法に加工します。 |
成形 | CR系(クロロプレン)ゴムスポンジは成形して特定の形状に成型することができます。成形は加熱と圧縮を使用して行われ、特定の形状や寸法に合わせて製品を作成します。成型形状によっては金型が必要になります。 |
押出成形 | CR系(クロロプレン)ゴムスポンジは押出成形によって、特定のプロファイルや形状に加工することができます。ゴム材料が加熱され、押し出し口から押し出され、押出金型の形状で冷却され形状を保ちます。 |
接着 | CR系(クロロプレン)ゴムスポンジは他の素材や表面に接着することができます。接着剤や接着テープなどが使用され、必要な箇所にCR系(クロロプレン)ゴムスポンジが取り付けられますが一般的にゴムスポンジは両面テープがつきにくい材料になります。 |
プレス加工 | CR系(クロロプレン)ゴムスポンジはプレス機によるプレス加工が可能です。トムソン型やピナクル型を用いて必要な形状にプレス加工ができます。 |
⑤クロロプレンゴムとネオプレン®(Neoprene)ゴムの違いとは
ネオプレン®(Neoprene)ゴムは、デュポン(DuPont)社によって開発された合成ゴムの一種です。1930年代にデュポンの化学者、ウォレス・カロザースによって開発されました。当時世界初の合成ゴム、ネオプレン®(Neoprene)は耐候性、耐薬品性に優れ、特に耐熱性に優れた素材として注目されました。ネオプレン®(Neoprene)はクロロプレンゴムの商標名であり、デュポン社が商標登録を行っています。
そのため、ネオプレン®(Neoprene)という名称は一般的な名称として使われていますが、デュポン社の商標であることに留意する必要があります。
⑥ CR系(クロロプレン)ゴムスポンジの物性データ
タイプ | 硬度 | 引張強さ | 伸び% | 見掛け密度 | 圧縮永久歪 | 熱収縮率 | 吸水率 | 25%圧縮荷重 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
C-4205 | 10±5 | 0.39以上 | 150以上 | 0.18±0.03 | 30以下 | 2以下 | 5以下 | 29.4~58.8 |
C-4215 | 15±5 | 0.39以上 | 150以上 | 0.18±0.03 | 30以下 | 2以下 | 34.3~63.7 | |
C-4305 | 25±5 | 0.49以上 | 150以上 | 0.19±0.03 | 30以下 | 1.5以下 | 61.9~93.2 | |
C-4405 | 25±5 | 0.49以上 | 120以上 | 0.20±0.03 | 30以下 | 1.5以下 | 61.9~93.2 | |
C-4505 | 35±5 | 0.49以上 | 120以上 | 0.25±0.03 | 30以下 | 3以下 | 88.3~127.5 | |
C-4500 | 40±5 | 0.49以上 | 120以上 | 0.25±0.03 | 30以下 | 3以下 | 103.0~205.9 | |
C-4555 | 50±5 | 0.49以上 | 100以上 | 0.25±0.03 | 40以下 | 3以下 | 137.3~205.9 | |
C-4600 | 50±5 | 0.98以上 | 120以上 | 0.30±0.04 | 30以下 | 3以下 | 137.3~215.7 | |
C-4315 | 20±5 | 0.49以上 | 150以上 | 0.19±0.03 | 30以下 | 1.5以下 | 29.4~68.6 | |
C-4255 | 15±5 | 0.49以上 | 150以上 | 0.19±0.03 | 30以下 | 2以下 | 39.2~78.4 | |
C-4266 | 22±5 | 0.39以上 | 100以上 | 0.20±0.03 | 60以下 | 3以下 | 49.0~88.3 | |
C-4310 | 23±5 | 0.59以上 | 150以上 | 0.22±0.03 | 30以下 | 3以下 | 44.1~73.5 | |
CD-4302 | 25±5 | 0.49以上 | 150以上 | 0.19±0.03 | 30以下 | 1.5以下 | 61.9~93.2 |