ポリエチレンフォーム
オプセル
1、オプセル/スーパーオプセルについて
オプセル/スーパーオプセルは、三和化工が世界で初めて開発した連続気泡ポリエチレンフォームです。一般的に発泡体は独立気泡と連続気泡に分類されます。ポリエチレンフォームは、基本的には独立気泡構造を有していますが、オプセルは意図的に連続気泡構造を作り出しています。
そうすることで、止水性・気密性・吸音性に優れた発泡体として、様々な分野に 活用されています。
(1)独立気泡と連続気泡について
ウレタンフォームやポリエチレンフォームなどの発泡体は、二種類に大きく分けることができます。独立気泡と連続気泡です。この二種類の気泡構造は、発泡体内部の各々の気泡が独立しているか、連続しているかの違いで分類されます。
①独立気泡とは
独立気泡は、発泡体の気泡が独立している構造を指します。気泡がそれぞれ独立しているため、機体や液体がフォームの中に入り込まず、内部を通過することはできません。水が浸入せず、水に浮くため、ビート版などの補助具や、各種液体・気体のシーリング材(パッキン・ガスケット)などに使用されます。
また、連続気泡構造の発泡体よりも、物理的強度が高く、各種パッケージの梱包材、通函の緩衝材などとしても利用されています。
この独立気泡構造を有するのは、汎用PEやゴムスポンジなどです。
②連続気泡とは
連続気とは、発泡体内部の気泡が、それぞれ連続している構造を指します。独立気泡とは違い、気泡が連続しているため、液体や気体は中を通過することができます。一般的な食器洗い用のお掃除スポンジや、マットレスなどの寝具、吸音性能に特化した吸音フォームなどは、この独立気泡構造の発泡体です。
また、フォームを圧縮すると内部に含まれていた空気が抜けて、圧縮から解放すると、空気を含んで元の厚みに復元する特性を持っています。
これにより独立気泡構造の発泡体は、柔軟性にも富んでいるため、物と物の間に挟んで緩衝材として使用できるだけでなく、曲面などの複雑な形状でもよく追従するため、各種シール材としても使用できます。
連続気泡構造として代表的なものは、ウレタンフォームです。
(2)オプセル/スーパーオプセルについて
[1]オプセルとは
オプセルは連続気泡ポリエチレンフォームのため、止水性・気密性・吸音性に優れ、耐薬品性などの化学的特性に優れています。また連続気泡でありながら、気泡膜を有するため、保水性があります。
ウレタンフォームとは違い、加水分解をしないため、耐水性があります。さらに製造過程でフロンガスを全く使用していないクリーンなフォームです。燃焼時にダイオキシンなどの有毒なガスを発生しません。
各種難燃規格 | 判定 |
FMVSS302(自動車用内装材料燃焼規格) | 適合品あり |
①止水性・気密性
連続気泡構造のため、圧縮しやすく、凹凸に容易にフィットし、エアーシール材や断熱材(結露防止)として最適です。エアコンや冷蔵庫などに使用されています。連続気泡でありながら気泡膜を有しているため、圧縮すると止水効果が得られます。②耐薬品性(酸・アルカリ)
洗剤やシャンプーはもちろん、工業用途で使用される酸・アルカリに対しても、極めて安定しています。耐摩耗性にも優れていることから、洗浄用たわしなどにも使用されています。③吸音性
優れた吸音性を有し、録音室や無響室、スタジオ、室内プールなどの吸音材として、効果を発揮します。
下記グラフは、周波数(Hz)ごとのオプセルの吸音率を表しています。
青線グラフ(厚み10mm)は1600Hz以上、赤線グラフ(厚み40mm)は600Hzで吸音のピークを(吸音率80%以上)を迎えています。フォームの厚みを厚くすると低周波数帯域に、厚みを薄くすると高周波数帯域に吸音のピークがシフトします。
④耐水性・耐候性
紫外線による変色が少なく、ウレタンフォームのような加水分解による劣化が発生しません。[2]スーパーオプセルとは
スーパーオプセルは、オプセルに難燃性を付与したブランドです。オプセルの特性はそのままに、難燃性が求められる加工な分野へ対応したフォームです。
各種難燃性 | 判定 |
UL-94 | HF-1 認定品あり |
鉄道車両用材料燃焼試験(車材燃試) | 難燃性 認定品あり |
DIN5510 (ドイツの鉄道車両用材料燃焼試験) | 適合品あり |
FMVSS302 (自動車用内装材料燃焼規格) | 適合品あり |
・認定品:認定機関での試験に合格した物 ・適合品:認定機関が存在せず、外部試験機関または三和化工株式会社での試験にて合格した物 |
①軽量・難燃性・ノンハロゲン
軽量で、優れた難燃性を有していることから、新幹線の客室窓枠や空調機器に、吸音材・断熱材・エアーシール材として利用されています。また、環境への負担が懸念されているハロゲン系難燃剤を使用していない、ノンハロゲンタイプのグレードも取り揃えています。※ノンハロゲンタイプ:ハロゲン系物質(塩素・臭素・フッ素)を使用していない物
②吸音性
連続気泡構造のため、フォーム内部に侵入した音が、多くの壁(気泡膜)に当たり、音のエネルギーが減衰するため、反射して返る音が減少します。フォームの厚みを厚くすると低周波数帯域に、厚みを薄くすると高周波数帯域に吸音のピークがシフトします。
③非加水分解
ポリエチレン樹脂を基材としてフォームであるため、耐水性に優れています。一方で、ウレタンフォームは水による加水分解(劣化)が懸念されます。そのため、水との接触や吸水の可能性がある用途に、オプセル(連続気泡ポリエチレンフォーム)/スーパーオプセル(連続気泡ポリエチレンフォーム 難燃性タイプ)が採用されます。
④難燃性仕様
グレード名 | LC-3000#2 | LC-3000#2NN | LC-3001#2 | LC-3001#2D | |
難燃剤の種類 | 塩素系 | 非含有 | 非含有 (ノンハロゲンタイプ) |
||
臭素系 | 含有 | ||||
リン系 | 含有 | ||||
UL-94 | HF-1 相当 | HF-1 認定 | HF-1 認定 | HF-1 相当 | |
鉄道車両用材料燃焼試験 (車材燃焼試験) |
難燃性認定 | 難燃性認定 | 難燃性認定 | - | |
DIN5510 (ドイツの鉄道車両用材料燃焼試験) |
適合 | - | 適合 | - |
(3)オプセル/スーパーオプセルのグレードについて
[1]オプセルのグレード
ブランド名 | グレード | 見掛け密度 | 引張強さ | 伸び | 熱的安定性 | 熱伝導率 | |||||
kg/m2 | MPa | % | 10% | 25% | 50% | 30分後 | 24時間後 | % | W/m・K | ||
オプセル | LC-150 | 50 | 0.27 | 275 | 9 | 10 | 14 | 3.1 | 1.6 | -0.5 | 0.047 |
LC-150S | 50 | 0.2 | 280 | 5 | 7 | 10 | 5 | 2 | -1.4 | 0.035 | |
LC-150A | 45 | 0.22 | 300 | 7 | 10 | 10 | 5.2 | 2.1 | -2.5 | 0.038 | |
LC-150A | 45 | 0.22 | 300 | 7 | 10 | 10 | 5.2 | 2.1 | -2.5 | 0.038 | |
LC-300#1 | 30 | 0.11 | 210 | 3 | 4 | 5 | 4 | 1.5 | -1.5 | 0.036 | |
LC-300#2 | 30 | 0.13 | 235 | 3 | 4 | 5 | 3.7 | 1.2 | -0.8 | 0.034 | |
LC-300#2D | 30 | 0.11 | 240 | 3 | 4 | 5 | 4.8 | 2.6 | -1 | 0.04 | |
LC-300#2WE | 30 | 0.15 | 180 | 3 | 4 | 5 | 4.7 | 1.9 | -2.1 | 0.04 | |
LC-300#3 | 30 | 0.14 | 185 | 3 | 4 | 5 | 4.3 | 1.8 | -0.3 | 0.04 | |
LC-300#2 | 30 | 0.07 | 150 | 3 | 3 | 4 | 4.3 | 1.9 | -0.6 | 0.04 |
※測定方式について
JIS K 6767、JIS A 1412-2に準拠しております。
熱的安定性(加熱後寸法変化率):70℃環境下x22時間放置⇒23℃環境下x1時間放置⇒加熱前寸法からの縦と横の加熱寸法変化の割合を示しています。負の値は、収縮を意味します。
※各種燃焼試験について
①三和化工株式の製品は、すべてFMVSS302(自動車用内装材料燃焼試験)に適合しています。
②UL94・車材燃試(鉄道車両用材料燃焼試験)・DIN5510(ドイツ工業規格の鉄道車両用材料燃焼試験)・14CFR(航空機用垂直燃焼試験)
・認定:認定機関での試験に合格した物
・相当:認定機関が存在するが、外部試験機関または三和化工株式会社での試験にて合格した物
・適合:認定機関が存在せず、外部試験機関または三和化工株式会社での試験にて合格した物
[2]スーパーオプセルのグレード
ブランド名 | グレード | 見掛け密度 | 引張強さ | 伸び | 圧縮応力 | 50%圧縮永久歪 | 熱的安定性 | 熱伝導率 | |||
kg/m2 | MPa | % | 10% | 25% | 50% | 30分後 | 24時間後 | % | W/m・K | ||
スーパーオプセル | LC-3000#2 | 35 | 0.17 | 260 | 5 | 6 | 8 | 3.3 | 1.5 | -0.8 | 0.04 |
LC-3000#2NN | 35 | 0.11 | 200 | 5 | 6 | 8 | 2.8 | 1.4 | -1.8 | 0.035 | |
LC-3001#2 | 35 | 0.16 | 245 | 5 | 6 | 8 | 3.8 | 1.8 | -0.6 | 0.034 | |
LC-3001#2D | 35 | 0.11 | 205 | 4 | 5 | 7 | 4.8 | 2.5 | -0.9 | 0.033 |
※測定方式について
JIS K 6767、JIS A 1412-2に準拠しております。
熱的安定性(加熱後寸法変化率):
70℃環境下x22時間放置⇒23℃環境下x1時間放置⇒加熱前寸法からの縦と横の加熱寸法変化の割合を示しています。負の値は、収縮を意味します。
※各種燃焼試験について
③三和化工株式の製品は、すべてFMVSS302(自動車用内装材料燃焼試験)に適合しています。
④UL94・車材燃試(鉄道車両用材料燃焼試験)・DIN5510(ドイツ工業規格の鉄道車両用材料燃焼試験)・14CFR(航空機用垂直燃焼試験)
認定:認定機関での試験に合格した物
相当:認定機関が存在するが、外部試験機関または三和化工株式会社での試験にて合格した物
適合:認定機関が存在せず、外部試験機関または三和化工株式会社での試験にて合格した物
(4)オプセル/スーパーオプセルの用途について
オプセル/スーパーオプセルは止水性、吸音性、難燃性、耐水性などの様々な特徴を有しています。あらゆる業界の幅広いニーズに対応しているため、実績・用途も多岐にわたります。
下記に具体的な例を挙げます。
[1]オプセルの用途について
①自動車
採用例:サイドミラー目的と特性:吸音材、止水・エアーシール材
②土木建築
採用例:橋梁つなぎめ(フィンガージョイント部分)目的と特性:目地材
③土木建築
採用例:窓枠目的と特性:バックアップ材(窓ガラス角度調整材)
④土木建築
採用例:屋根面戸(波板屋根材)隙間埋め目的と特性:バックアップ材(窓ガラス角度調整材)
⑤空調機器
採用例:家庭用・業務用エアコン(室内機・室外機)目的と特性:吸音材、エアーシール材、断熱材(結露防止剤)、振動音防止
⑥電子機器
採用例:テレビ(スピーカー部品、バックライト部品)、ゲーム機器目的と特性:エアーシール材、隙間埋め材
⑦日用雑貨
採用例:洗浄用タワシ目的と特性:耐水性、耐薬品性、耐候性
[2]スーパーオプセルの用途について
①自動車
採用例:ドアトリム目的と特性:吸音材
②鉄道車両
採用例:新幹線客室窓枠目的と特性:吸音材、隙間埋め材
③鉄道車両
採用例:ダクト周り目的と特性:断熱材(結露防止材)、防カビ材
④鉄道車両
採用例:構体(車体の強度を担う外板・台枠)目的と特性:隙間埋め
⑤土木建築
採用例:耐火配管目的と特性:止水シール材、難燃性
⑥土木建築
採用例:住宅内壁枠目的と特性:エアーシール材
⑦空調機器
採用例:家庭用・業務用エアコン(室内機・室外機)目的と特性:吸音材、エアーシール材、断熱材(結露防止材)、振動音防止
⑧空調機器
採用例:業務用加湿機器目的と特性:吸音材、エアーシール材
(5)オプセル/スーパーオプセルの加工方法について
当社では、オプセル/スーパーオプセルを用途に応じた形状に加工することが可能です。・裁断加工
材料を二次元形状に加工することができます。正方形や長方形などの直線的な形状に裁断することは可能です。
・プレス加工
クッキーを型で抜くように、打ち抜き型を用い、任意の形に加工することが可能です。
裁断加工ではできない複雑な形状の場合、このプレス加工により材料を加工いたします。
この加工方法では、型費が別途必要となります。
・プロッター加工
プレス加工では対応しきれない複雑な形状や、ロットが少ない場合、プロッター加工にてご対応させていただきます。
・粘着加工
接着剤を用いて材料同士を接着することができます。同じ材料や違う材料同士の接着も対応しております。
また両面テープの品揃えもございますので、材料の片側ないし両側に両面テープを貼り付ける加工も可能です。
・切削加工
NCマシニング加工、フライス加工により中ぐり、フライス削り、穴あけ、ねじ立て、リーマ仕上げなど多種類の加工ができます。
CADデータをいただくことで上記加工が実施できます。
トムソン型やプロッターでの対応が難しい複雑な形状をご希望の場合、こちらの加工方法にて作製いたします。
以上のように、当社ではお客様のニーズに応じたグレードをご提案し、用途に見合った加工方法をご提案することができます。