ウレタンフォーム
熱圧縮ウレタンフォーム
目次
1.熱圧縮ウレタンフォーム 2.熱圧縮ウレタンフォームの加工 |
1.熱圧縮ウレタンフォーム
熱圧縮ウレタンフォームとは、通常のウレタンフォームに熱をかけて圧縮(熱プレス)することで、密度や硬さを変える加工方法です。熱をかけて圧縮することを、一般的には熱プレスと呼びます。
熱プレスをすることで、密度や硬さなどを自由に変えることができ、通常のウレタンフォームでは実現できない質感を出すことができます。
圧縮する倍率でカスタムができるほか、ウレタンフォームの材質も様々な取り扱いがございます。
圧縮させる倍率とウレタンフォームの材質との組み合わせで、オリジナリティー溢れる製品を作製することができます。
弊社では熱プレスが可能なウレタンを多数取り揃えております。
下記にそのウレタンフォームについてと、具体的な種類を記します。
1)熱圧縮ウレタンフォームについて
ウレタンフォームはポリウレタンという化学物質から作られたフォーム(発泡体)のことであり、柔らかく軽量なため様々な用途で使われています。ポリウレタンフォームは「ポリイソシアネート」+「ポリオール」+「触媒・整泡剤・発泡剤」によって生成されます。ポリウレタンフォームは一般的に「ウレタンフォーム」と呼ばれることが多いです。
熱圧縮ウレタンフォームは、このウレタンフォームに熱をかけて圧縮させた製品です。
熱圧縮とは、高熱(180℃程度)をかけた鉄板でウレタンフォームをプレス(圧縮)することで、もとの厚みよりも薄く加工する加工方法です。
材質にもよりますが、プレス時の厚みは0.5mm~のご対応とさせていただきます。
基本的には1mmピッチでのプレスとなりますが、それ以外の厚さにつきましてはご相談いただけますと幸いです。
①熱圧縮ウレタンフォームの特徴について
・薄物のシート状での納品が可能
通常、ウレタンフォームは2mm以下の薄物はスライス加工でのご対応が難しいです。材質が軟らかく、スライス用の刃物が上手く通らないためです。
熱圧縮ウレタンフォームは、もともとのウレタンフォームをプレスするため、スライス加工時のような加工上の制約は基本的にございません。
したがって0.5mm~の薄物対応が可能です。
・クッション性
熱圧縮ウレタンフォームは、大本のウレタンフォームを圧縮して作製するため、クッション性は十分にあります。ただし、熱をかけて密度を変えるため、通常のウレタンフォームのラインナップには無い硬さやクッション性を付与することができます。
その独特なクッション性は、汎用ウレタンフォームや低反発ウレタンフォームなど、元のウレタンフォームの硬さや反発具合などで大きく変わります。
・成形性
ウレタンフォームは特性のひとつに熱硬化性があります。これを利用することで任意の形に成形することができます。
成型時には専用の金型が必要となりますので、イニシャル費用として別途金型費が発生いたします。
以上のように、熱圧縮ウレタンフォームは、通常のウレタンフォームのラインナップには存在しない厚さ・触感・形を実現することができます。
どのようなウレタンフォームを使用するか、圧縮率をどの程度にするかなどで、熱圧縮ウレタンフォームの特性が決まります。
下記では弊社にて取り扱いのあるウレタンフォームをご紹介いたします。
熱圧縮ウレタンフォームは、この中からウレタンフォームをお選びいただき、熱圧縮を実施することで作製いたします。
そもそもウレタンフォームとはどのような物かという点をあわせて解説しております。
ご参考までにご覧いただけますと幸いです。
2)ウレタンフォームとは
(1)ウレタンフォームの特徴
柔軟性と弾力性 | ウレタンフォームは柔らかく体にフィットするため、快適な使用感を提供します。また、圧縮された後も元の形状に戻りやすい弾力性(圧縮残留歪)を持って0います。 |
軽量性 | 一般的には軽量な素材であるため取り扱いが容易でサポート性やクッション性を提供します。 |
耐久性 | 長期間の使用への耐久性があります。適切にメンテナンスをすれば変形しにくい性質があります。 |
衝撃吸収性 | 衝撃を吸収し、衝撃から保護する機能を持っています。そのため、スポーツ用具や保護具、工業製品などで使用されます。 |
断熱性 | 一部のウレタンフォームは優れた断熱性を持っており、断熱材として建築や工業で使用されることがあります。 |
吸音特性 (音響特性) |
吸音特性があります。これにより、音響製品や音響環境の改善に使われることがあります。 |
多様な用途 | 様々な産業分野で幅広く利用され、寝具、家具、自動車、医療機器、スポーツ用品、音響材料などの製品に使われます。 |
加工性 | 切断や成形が容易であり、さまざまな形状やサイズに加工することができます。 |
(2)ウレタンフォームの種類
ウレタンフォームは、軟質ウレタンフォームと硬質ウレタンフォームと、生成材料のポリオールの高分子鎖の結合方法に基づくエーテル系ウレタンフォームと、エステル系ウレタンフォームに分類することができます。軟質ウレタンフォームは、柔軟性や弾力性がありクッション性や衝撃吸収性に優れるため、家具のクッションやマットレス、枕や工業製品の衝撃吸収材など幅広い分野で利用されています。
①エーテル系ウレタンフォーム
エーテル系ウレタンフォームは、生成材料である「ポリイソシアネート(MDI/TDI)」、「ポリオール」、「触媒/整泡剤/発泡剤」のうちポリオールの結合がエーテル結合によるものであり、次の特徴を持っている。- 一般的に耐久性に優れる。
- 加水分解しにくい。
- 軽量性に優れる。
- クッション性に優れる。
- エステル系と比較し耐薬品性に優れる。
- 種類が豊富。
- 衝撃吸収性に優れる。
- 吸音性能に優れる。
- 油に弱い。
寝具 | マットレス、枕、布団などの寝具に使われることがあります。柔らかく体にフィットすることで寝心地を向上させます。 |
家具 | クッションやパッド、ソファや椅子のシートなどに利用され、長時間座っていても快適性を提供します。 |
自動車産業 | 車のシートや内装部品、ヘッドレストなどにも使われ、乗車時の快適性を高めます。 |
医療機器 | 医療用ベッドや患者のポジショニングに使われ、快適性やサポート機能を提供します。 |
包装材、梱包資材 | 丈夫でクッション性に優れているため、壊れやすい製品や機器を保護する包装材としても利用されます。輸送中の衝撃を吸収し、製品を保護します。 |
音響製品 | スピーカーやヘッドフォンのクッション部分に使用され、快適性と音響特性を向上させます。 |
スポーツ用品 | スポーツウェア、保護具、シューズのクッション材などに使用され、衝撃吸収性や快適性を提供します。 |
産業製品 | クッション材や衝撃吸収材、吸音材として、さまざまな産業製品で使用されます。 |
②エステル系ウレタンフォーム
エステル系ウレタンフォームは、生成材料である「ポリイソシアネート(MDI/TDI)」、「ポリオール」、「触媒/整泡剤/発泡剤」のうちポリオールの結合がエステル結合によるものであり、次の特徴を持っている。- エーテル系と比較し物理的/機械的強度に優れる。
- 耐油性に優れる。
- 耐溶剤性に優れる。
- エーテル系と比較しやや耐候性に優れる。
- 吸音性能に優れる。
- 工業用途で広く使用されている。
- 加水分解しやすい。
耐油性と耐溶剤性 | エステル系ウレタンフォームは、一般的にエーテル系よりも耐油性や耐溶剤性に優れています。 油や特定の溶剤に対する耐性が高いため、機械部品、シール材、絶縁材、そして化学工業での利用に適しています。 |
耐候性 | 一部のエステル系ウレタンフォームは、エーテル系と比較して耐候性に優れます。 UV耐性や耐候性が求められる建築材料、屋外の製品、自動車部品などで使用されることがあります。 |
燃焼性 | エステル系ウレタンフォームは、一部のタイプはエーテル系よりも燃焼しやすい性質を持つ場合があります。 この特性を考慮して、火災時の安全性が求められる特定の環境や用途に適しています。 |
耐熱性 | 一部のエステル系ウレタンフォームは耐熱性に優れており、高温環境での利用に適していることがあります。 特定の産業用途や環境での熱への耐性が必要な場合に利用されます。 |
エステル系ウレタンフォームは、これらの特性を活かして、特定の産業や用途で利用されています。 特に耐油性や耐溶剤性、耐候性、燃焼性、耐熱性が求められる環境下で、その特性を活かして製品の性能を高めるために利用されています。 |
(3)取り扱いのあるウレタンフォームについて
①イノアック社製カラーフォーム(エーテル系)・モルトプレン(エステル系)
・カラーフォームについて カラーフォームとは、株式会社イノアックコーポレーションが開発・製造・販売しているエーテル系ウレタンフォームの商標です。様々な種類・密度・硬さを取り揃えております。
詳細は弊社営業担当までお問い合わせください。
・モルトプレンについて モルトプレンとは、株式会社イノアックコーポレーションが、開発・製造・販売しているエステル系ウレタンフォームの商標です。
こちらにつきましても弊社にてお取り扱いがございます。
種類などの詳細は弊社営業担当までお問い合わせください。
②アキレス社製エアロン
エアロンとは、アキレス株式会社が開発・製造・販売している軟質ウレタンフォームです。汎用ウレタンフォームだけでなく、低反発ウレタンフォーム・中反発ウレタンフォーム・高弾性ウレタンフォーム・高伸張ウレタンフォーム・吸湿ウレタンフォームなど幅広い取り揃えがございます。
カラーリングなどもご自由にお選びいただけますので、詳細は弊社営業課までお問い合わせください。
③東洋クオリティワン社製ウレタンフォーム
産業用資材として一定の特性を付与したウレタンフォームを取り揃えております。吸音や難燃など、機能性の求められる部材・部品としてお使いいただけるウレタンフォームをご提案することができます。
2.熱圧縮ウレタンフォームの加工方法
弊社では、熱圧縮ウレタンフォームを用途に応じた形状に加工することが可能です。
裁断加工 | 材料を二次元形状に加工することができます。正方形や長方形などの直線的な形状に裁断することは可能です。 |
プレス加工 | クッキーを型で抜くように、打ち抜き型を用い、任意の形に加工することが可能です。 裁断加工ではできない複雑な形状の場合、このプレス加工により材料を加工いたします。 この加工方法では、型費が別途必要となります。 |
プロッター加工 | プレス加工では対応しきれない複雑な形状や、ロットが少ない場合、プロッター加工にてご対応させていただきます。 この加工方法では型費は必要ございません。 ※大ロットの場合は打ち抜き加工でのご対応となる可能性がございます。 ※材質によってはプログラミングカッターでの加工が難しい場合がございます。 つど営業担当者にご相談ください。 |
粘着加工 | 材料に粘着を施す加工です。 粘着加工をすることで、材料を何かに貼りつけることができるようになります。 また、異素材同士を貼り合わせることもできます。 |
貼り合せ加工 | 接着剤を用いて材料同士を接着することができます。同じ材料や違う材料同士の接着も対応しております。 異素材を積層することで、一定の機能性を付与することができます。 また、両面テープの品揃えもございますので、材料の片側ないし両側に両面テープを貼り付ける加工も可能です。 |
ホットメルト | 熱可塑性樹脂を用いた接着方法です。 熱で溶かした樹脂を接着剤として使用し、素材同士を貼り合わせることができます。 こちらも粘着加工と同様に、異素材同士を貼り合せる加工や、積層することが可能です。 接着剤や両面テープなどを使用しないため、VOCが気になる場合や、環境面に配慮する場合は、ホットメルトによる接着をご提案させていただきます。 |
切削加工 | NCマシニング加工、フライス加工により中ぐり、フライス削り、穴あけ、ねじ立て、リーマ仕上げなど多種類の加工ができます。 CADデータをいただくことで上記加工が実施できます。 トムソン型やプロッターでの対応が難しい複雑な形状をご希望の場合、こちらの加工方法にて作製いたします。 |